2011年06月26日

PIPCセミナーに参加して

被災後の心のケア(PIPC東京セミナーに参加して)2011.6.26

 梅雨入りした611()12()2日間、東京駅から皇居に向かって歩くこと5分のところにある丸の内マイプラザホールにて、PIPC東京セミナー2011が開催された。

PIPCとはPsychiatry in Primary Care(プライマリケアにおける精神医学)の略。

心の病や心に問題を抱えている患者さんに対し、苦手意識を持つ専門医以外の医療者が、日常診療においてすぐに役立つことを目指す「精神疾患診療の教育プログラム」である。

 はじめて参加したのは2年前、今回は2回目になる。参加者は約100名。その中で私たち鍼灸師2名を除いた大半の方々が精神科以外の医師たちである。セミナーのテーマは、震災後、長期化する医療支援にそなえての災害バージョン「被災者の心のケア」だ。

 1日目の第1部では特別講演「被災後の心のケア」―被災者そして救援者、支援者のために私たちのできること―と題して、藤田保健衛生大学医学部精神医学・教授、内藤宏先生が講演された。

 第2部はミニトーク・セクション「震災からはじまる、みんなの心療」。ファシリテーターの井出広幸先生(信愛クリニック院長)と木村勝智先生(みよし市民病院第二内科部長検診科部長)のお二人が簡潔明瞭、美しいスライドを用い、ロールプレイを中心としたワークショップを行った。

 2日目は「PIPCセミナー ベーシックコース スペシャルエディション」と題して、前日と同様、ファシリテーターの井出、木村両先生が「心の診かた」の基礎知識、診断、治療とケアをレクチャーだけではなく、やはりロールプレイをとり入れたワークショップを行った。

 興味深かったのは、消化器外科の井出先生が、スーパーバイザーとして精神科専門医4名の前でレクチャーしたことだ。しかも、万が一、井出先生の話に誤りがあったとしたら、精神科専門医が直ちにイエロカードかレッドカードを出す、という仕組みになっている。アイスブレイクから始まるセミナーは時間が経過するにつれ盛り上がり、これが医療者のセミナーかと思われるほど面白い体験であった。この中で鍼灸臨床にも明日から直ぐに役立つ「心の診かた」をご紹介したい。

 

 鍼灸院を訪れる患者さんの愁訴は様々だ。その愁訴の中に「眠れない」「食欲がない」という2つの項目があったら、次の問診へと進めてほしい。

 「夜はぐっすり眠れますか」「ご飯はおいしく食べられますか」  

  NO

 「気持ちが沈みこんだり、滅入ったり、憂うつになったりすることがありますか」  「何をしても楽しくなくなっていませんか、今まで興味が持てたことに興味が持て     なくなっていませんか」→うつ病

さらに「心配性ですか」→全般性不安症

「パニック発作を起こしたことがありますか」→パニック障害

「長時間手を洗ったり、元栓や鍵の確認に戻ったりしますか」→強迫性障害

「トラウマがフラッシュバックしますか」→外傷後ストレス症候群

「ひどいあがり症ですか」→社会不安障害 

 医療面接の基本は「開かれた質問」が中心になるが、心の病の場合には上記にある「閉じられた質問」が中心になる。「閉じられた質問」だけで来院頻度の高い「こころの病」の推定ができ、専門医への紹介も可能となる。

 医療面接に学ぶ会では、災害バージョンとして今回のPIPCの心の診かたをとりいれたワークショップを近々開催する予定である。