医療面接ってなあに?

医療者が病気を抱えた人間と向かい合ってコミュニケーションをとること、これを医療面接といいます。


なあーんだ、問診のこと?
問診を上手にすることが医療面接なの?

いいえ、決してそうではありません。
今は昔、問診と言う言葉がありました。その問診に対する反省から医療面接は生まれたのです。問診はすでに死語となり、今では医療面接という新しい言葉に生まれ変わりました。

今までの問診では、医療者が患者さんに向かって「いつから痛みますか」「どこが 痛みますか」と一方的に質問してきました。

これでは患者さんは「はい」「いいえ」と聞かれたことだけにしか応えられません。 問診では患者さんの気持ちは置き去りにされていたのです。

しかし、医療面接では「その痛みについて、もう少し詳しくお話しをしていただけますか」と患者さんに問い掛けます。

すると患者さんは自分の言葉で自由にその痛みについて、ゆっくりと語り出します。その話に医療者はじっと耳を傾けます。

患者さんの痛みや不安を受け止め信頼される関係が、良い治療効果をもたらします。患者さんを痛みや不安を抱えた1人の人間として尊重し、向き合う、それが医療面接です。

 
医療面接4つの効果

▼ 4つの効果とは
1.患者さんの満足度を高める
2.信頼関係を築く
3.正しい診断ができる
4.治療効果を高める
医療面接では、確実な言葉のキャッチボールをくり返しながら小さな信頼関係を積み上げます。そして患者さんが鍼灸師に求める気持ちを的確につかみます。 それが患者さんの満足度を高め、良い治療効果を招きます。また、病気に関する患者さんの自由な話がより正しい診断を可能にするのです。

▼ 医療面接の必要性
疾病構造が変化したとはよく言われることです。確かに時代は感染症から生活習慣病へと変わりました。生活習慣病は根治の難しい病気です。そこでは病気と共存しながら生活をコントロールすることが求められます。
まさに患者さんが医療の主体となる時代がやって来たのです。そんな時代だからこそ、患者さんが医療者に求める気持ちは実に様々です。
「はやくこの痛みを何とかして欲しい」「からだの不調について相談できる相手が欲しい」「痛みを抱えた私を理解して欲しい」など。
だからこそ、病気を診る問診ではなく、痛みや不安を抱えた1人の人間として、患者さんに向き合う医療面接が必要となるのす。しかし、医療面接技法は本を読んでも身につけることはできません。
なぜなら、頭で分かっていることと実際に出来ることとは決定的に違うからです。それは自動車の運転を習うのと同じことです。
医療面接を身につけるためには、ロールプレイ(役割交替による模擬演習)を中心としたワークショップ(体験学習)を経験することが一番の近道となります。



善意はある、これをもっと活かすには。

善意はある、これをもっと活かすには。

 

3.11の震災後、被災者のために何ができるのか、自分の持つ技能を役立てるにはどうすればよいのか、と自分自身に問いかけている鍼灸師は多いと思う。つまり鍼灸という専門的技能を持った鍼灸師が医療職の一人として、被災者の支援に貢献したいと考えているのである。

■しかし、現実にボランティア活動として開業鍼灸師が被災地へと出かけるには多くの困難を伴う。他の医療職が日常の業務の一環として派遣されるのとは違い、開業鍼灸師の場合、自己負担が原則となる。もちろんボランティアは自己完結型が原則となるから被災地までの交通費、移動費、宿泊費、飲食費、雑費などは自己負担となるが、その困難は決して経済的な理由だけではない。基本的に開業鍼灸師はチーム医療の体制をとっていない。そのため自分がボランティアに行ってしまうと診療を行うものがいなくなり、当然のことながら患者さんに迷惑をかけてしまう。それが継続的なボランティア活動を妨げる理由の一つにもなっている。

■鍼灸・マッサージ師の被災者への思いはマグマのように存在している。

その証拠に今回、三輪正敬氏の立ち上げた「災害鍼灸マッサージプロジェクト」に登録し、活動した鍼灸・マッサージ師の404名(5/12現在)という人数をみれば明らかだ。この「災害鍼灸マッサージプロジェクト」は、私たち鍼灸師、マッサージ師の被災者に対する熱い思いを、うまくすくい上げ、活かし得た貴重なシステムといえる。もちろん、ここに示された鍼灸・マッサージ師の情熱は氷山の一角にすぎない。これからは開業鍼灸師がボランティア活動を継続できるような、経済的そして代診不能の困難さを克服した新しい柔軟なシステムが求められ、必要になるだろう。

■このシステムについて宮城県南三陸町の被災地で実際に医療活動をされた、東京大学大学院医学系研究科・形成外科医の中川崇氏は次のように報告している。

「一人の派遣者に長期滞在を求めて疲弊させてしまう病院やNPOが多い中、短期間で人を入れ替えることで派遣者の負担を減らし、それがまた次回の派遣にもつながった」

(週刊医学界新聞・増刊号510日号 shinbun@igaku-syoin.co.jp

■また、明治国際医療大学・鍼灸学部教授の今井賢治氏はAMDA医療ボランティアチームの一員として活動した経験から「調整員」の重要性について報告している。

「調整員は、スタッフが現場についてからの動きの調整・把握と管理、他団体との事務的な連携、必要物品の調達、現場と本部との情報伝達、現場での問題処理などなど、大きな役割を担い、調整員のマネージメントがあってこそ医療スタッフは安心して活動に没頭できました」そして「鍼灸師や柔道整復師、あんま・マッサージなどが調整員として活動することは当然可能です」とその役割を紹介している。(http://blogs.yahoo.co.jp/ktkbd382

■鍼灸ボランティアにこのようなシステムを活かすにはどうすればよいだろうか。

今回の「災害鍼灸マッサージプロジェクト」では、代表とそれに近い人々が調整員の役割も兼ねたと思われる。今後の鍼灸ボランティアでは医療スタッフだけではなく、この「調整員」という重要な役割の強化も課題になるだろう。

AMDA:アムダ 世界各国で起きた災害の医療支援に取り組む特定非営利活動法人)

 ■ところで日本鍼灸師会はHPhttp://www.harikyuor.jp/)に鍼灸施術ボランティアマニュアルを掲載している(日鍼発第2号 平成23422日)。

 その内容は4章から構成されている。

1.被災地、避難場所のボランティア支援の基本的な注意事項について

2.被災者の健康を守るための基本的知識

3.被災地、避難場所で活動するボランティア鍼灸師の方への知恵袋

4.鍼灸施術ボランティア活動の基本的臨床能力について

上記の123章はすべて他サイトからの転載である。そして、4章の中では施術に使用する鍼(バイオネックス 0.3)と取穴部位(6箇所以内)を限定している。たとえば「施術は円皮鍼を最大6箇所以内とする」というように。

実際の被災地でボランティア活動する鍼灸師の方々は、このマニュアルを読んでどう思うだろうか。日本医師会をはじめとする法人の被災地への医療支援が本格化する中、日本鍼灸師会の責任はきわめて重いといえる。

■私たちは現在、活動している鍼灸ボランティアの情報を可能な限り収集し、自分に何が出来るかについて、自分の頭で考え、自分の言葉で発言し、自分の身体で活動することがなにはともあれ必要である。